今回はこんなテーマでお話しします。
皆さんは、「子宮に異常がある」というと医学的な定義しか頭によぎらないと思います。
子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮腺筋症・・・
こんな感じだと思います。
でも、この名前の由来はご症状の結果という定義なんです。
これはお医者さんが、どんな薬を使うか?手術はどうか?などと治療方針を決めるために使われるといってもよいでしょう。
しかし、その前提となる大きな要素があります。
それは子宮の形態異常や機能異常です。
例えば、子宮後屈、前屈、側屈症や血流不全などによる機能低下などです。
後屈(子宮の頭を上げた状態)
前屈(子宮の頭がお辞儀をした状態)
側屈(子宮の頭が左右に曲がった状態)
これらにより生理リズムにおける子宮の正常な活動が妨げられ、やがては先ほどの病名という結果を導くのです。
しかし医学的な定義では、結果優先であるため病名がついたなら治療方針が限定されてしまいます。止痛薬やホルモン剤によるコントロール、それでだめなら摘出など手法は強力な事柄に限定されます。
しかし治療は強力な一方、これらの前提となる形態異常や機能異常などには非力です。もし前提を放っておけばそれは対症療法となってしまいます。
しかし、漢方医学では違う考えをとります。つまり大昔の治療機器もない時代では体の中は見えない「ブラックボックス」でした。だから体の外側に出ている反応や見栄えから中の現象を類推するしか方法はなく、そのやり方で治療体系を作ったのです。
だからこの体系を使えれば、内膜症に対する治療、側屈症や後屈症に対する治療なども可能となるのです。
例えば骨盤の開閉具合から後屈前屈症側屈症は類推できます。またその他の要素としては骨盤底筋の弛緩や緊張などが絡めば、弛緩なら補気薬で、緊張ならまず活血で、などと治療手段を選択できます。
もっともここで大事なことは、「形態を完全に調える」という意味ではなく、ある程度位置を改善させますが、「苦痛をすっかりなくして快適な生活が送れる」ということが目標になります。
こうした前提に対する治療をしていれば、内膜症や腺筋症などという結果なんて自然治癒力が勝手に解決してくれます。逆をいえば「それをしないから治らない」ともいえるのです。