今回はこのようなテーマでお話します。
普通漢方薬を扱う人はどんな漢方薬がいいのか選ぶ作業に集中します。
「何百とある処方から何が合うのか?」とっても大変な作業ですが大事なことですよね。もし合わなければ当然効きません。
そこで次に何に気を使うかというと生薬の質です。
良質で農薬の問題などのないものを使うのがいいですよね。
多くのケースではここで終わってしまいます…。
でも本当はまだ続きがあるのです。
それはその漢方薬をどう使い切るか?ということなんです。
私の尊敬する張明澄氏の著書の中ではそのことを明確に述べられています。
多くの症状では一番煎じで事足りるのですが、難病であればあるほど二番煎じ、三番煎じが必要となります。
ちょっと科学的に考えてみましょう。
漢方薬を煎じるというのは、生薬に熱を加えて成分を抽出していますよね。
煎じる作業が1回30分ならその分の熱エネルギーが加えられているわけです。
研究者などは「それで主要成分が出てしまっているので終わり」と考えていますが、天然成分なのですからそのほかにもいろいろな未知の成分があるわけです。
そこで2回煎じるとどうでしょう?少し多めにして1回40分煎じます。
そうすると成分は変わっても加える熱エネルギーは倍以上になりますよね。
成分というのは何かの物質と何かの物質が、あたかも手を繋ぐようにくっついたものです。
そこに熱エネルギーを加えれば手の結合を切ります。
そこで考えられるのは一番煎じより二番煎じの方が手の結合が切れているわけです。
用語を使えば、ポリマー(重合体)からモノマー(単量体)へ近づけているわけです。
(※ポリマーは分子が沢山集まった状態。モノマーとは分子が1人でいる状態)
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そうするとどうでしょうか?成分の分子が小さければ成分は細胞に染みこみやすくなります。そして細胞に染みこむ量が多くなれば「細胞への教育」がより効率よく行えます。
こうした現象こそが効果こそ遅いものの、異常細胞を正常化しやすいため、難病に適するのだと思います。
生薬の成分を主要成分だけで見ている研究レベルでは考えられない発想かもしれませんが、昔から行われている漢方とはそういうものなんです。
「難しい症状こそ漢方薬を徹底的に使い切る」
これ覚えておいてくださいね。