更年期障害によく使われるサプリに人参が入っていることがあります。
いや人参といっても、いわゆる野菜のニンジン(carrot)ではなく、生薬の人参(朝鮮人参、高麗人参)のことです。
「更年期障害、人参」で検索するとテキトーな記事がたくさん出てきます(笑)
更年期に人参のサプリを案内するため、高血圧やホットフラッシュ、頭痛に良いなどと色々書かれているようですが、その真偽には疑問です。
人参(お種人参)を漢方的に説明すると、まず軽く湯通しした人参(白参)とよく蒸して乾燥させた紅参に分けられますが、どちらも補気作用があり、倦怠や、虚弱症状に有効です。またどちらにも体を温める作用が少しあります。
ここで大事なのは、その薬性です。漢方(厳密には中国医学)では、その性質を相対する方向をもって分類します。
すると、人参は、熱寒分類で言えば、温(寒を少し温める)。補瀉分類(気の出し入れ)で言えば補。潤燥分類(体内水分の増減)でいえば、潤(体内の水分を増やす)。升降分類(体のエネルギーを上に向かわせる)で言えば升。散収分類(体外へ出すか守るか)で言えば収(出さずに守る)。
というようになります。これが漢方的な薬効の指標となります。
ここで問題なのは、升という作用です。これは体のエネルギーを上に向かわせる作用です。
もし更年期障害にお困りの方が薬効達成量を毎日摂っていれば、どうなるでしょう?
おそらくホットフラッシュは悪化し、血圧はより上昇し、めまいや動悸なども起こりやすくなる可能性があります。これではたまったものではありません。
実際、漢方の世界では高血圧の方に人参は禁忌、つまりタブーなんです。それを知らずに人参が体にいいとのんで血圧が上昇したなんていうれはゴマンとあります。
(私は0.3g/日でも経験しています・・)
人参が更年期障害のみんな悪いという意味ではありませんよ。それはあくまでベースとして、体が冷えていて、血圧もそんなに高くなく、動悸などの症状を見ない場合にはある程度いい、ということです。でも、それよりもっと使いやすい生薬はたくさんあります。
そのようなわけで更年期障害に人参サプリ・・なんていうのは少なくともプロの発想ではないと思います。購入される方はご自分の体質などをよくよく吟味してくださいね。